2016年02月19日

資源と産業と南北問題

資源と産業と南北問題、ということですが今回のお題はこちら。結論をいうと概ね南の地方は中途段階の文明で開発し得る資源が少ない、ということと開発され得る資源に対して食料・飲料などが少なく文明が発展しない、ということ。それに対して比較的北の地方は中途段階の文明で開発し得る、そして交易にも有効活用でき適度に産業の発展を助ける物品がより多い、ということと開発され得る産業物品に対して比較的食料・水資源が豊富にある、ということです。それらのことから通称「南北問題」が発生するのは当たり前で、根本的に南よりも北のほうが時代を重ねるごとに豊かになりやすい、のです。ということは北のほうの文明が南の文明を金融的に支援しなければいけないのですが、現在の食料ベースの飢餓や貧困が南で起こっているのは、そもそもそういったことが政治的な理由で為されていないから、なのです。具体的な理由は、なぜかは分かりませんがとにかく適度に南の地方を北が金融支援して経済の維持を助ければ、南も豊かになるか、といったらそうではなく結局根本的な有効な資源の差から南の地方よりも北の地方の方が圧倒的に豊かになりやすい、のです。それでも南の人は希望を捨てることなく普通に暮らせる社会を造ることは一応普通に造ることはできるのですが、先述の政治的理由のとおりそれが出来ていません。それはさておき、南のほう、とは南北問題の前提で分かっていらっしゃる方も多いかと思いますが、赤道よりも南の、いわゆる南半球のことです。反対に、北の地方とは赤道よりも北の、北半球のことです。と、ここで終わってしまったら、なんだこんなことか、と思われてしまうかもしれませんが、今回の結論はそういうことではありません。先の南に比べて北の地方は開発しやすく発展段階の文明にとって有用な資源が多い、ことが成り立つならば、こんなことが成り立ってしまうのです。(ここでは南半球、北半球のことではなく単純に方角)ある地方よりより南の地域は北の地方に食料など農産物を供給し、より北の地方は工業品を供給する、というものです。単純にまとめると、南よりも北の地方のほうが開発しやすいのなら、当然産業を含め文明の発展はより北の地方のほうが中途段階の文明では速くなります。ここで重要なのは初期段階の発展はすでに終わっていて、中途段階に差し掛かっていることが条件なのですが、とにかく人口をリカバリーするだけの有効な資源が、より北の地方では豊かなので中途段階からの文明の発展はより北の地方(ここでは多くの場合は北半球を指す)のほうが速くなるので、北の地方のより早い海外進出とあるいは植民地的支配が当然起こる、ということ。もっというと、より温暖でかつ北の地方よりも緩やかな文明の発展の仕方をするより南の地方では、そもそも農産物や鉱物資源などのより原資のかからない原産物が開発されやすい、ということとそれによってより北の地方の文明に植民地化されて搾取される、つまり手間さえかければ割と安く生産できる農産物などをより北の地方が比較的いい値段で買い上げる、ということが言えてしまうのです。より北の地方は、南の地方に比べて人口に対する資源が豊富な分中途段階からの文明では比較的早く発展しますから、産業がより発展しやすく鉱物資源などの原産物を加工する工業がより早く発展しやすくなります。となると、どういうことが言えるのか、というとより北の地方のほうが南の方の地方に比べて工業加工品を造る能力は高くなるので、より温暖で肥沃な南の地方から食料品など農産物や原産物を買い上げて、代価として工業加工品を南に送り付ける(あるいは売りつける)といった交易方式ができるのです。16世紀頃からのアフリカやインドとヨーロッパの交易ではまさしくその構図が鮮明になりましたが、そもそも比較的温暖だが人口に対して水などの資源に乏しいより南の地方はより北の地方に対して豊かになりにくい、のです。反対により北の地方は比較的穏やかな気候あるいは冷涼な気候になりやすいので、より肥沃ではないかもしれないけど人口に対してはさほど水資源は不足しない、あるいはより温暖な南の方から農産物などを買えるので、当然交易で経済は維持できるし相対的に交易単価の高いものを製造できる技術を相対的に早く獲得するのでどうやっても南よりもより北の地方ではそれが鮮明になってしまうのです。それの象徴が、といってはなんですが15世紀からの植民地時代でより南の地方が北の地方に、要は南半球のアフリカ・インドあるいは東南アジア、中南米などの人々が主にヨーロッパ人に搾取される構図が出来上がってしまった、ということにあるのです。分かりやすくまとめると、南よりも北のほうがより人口に対して水資源が豊富なので豊かになりやすい、ということと、もうひとつはより南の地方よりも北の地方のほうが上記理由などにより中途段階での文明の発展は早いので、より経済的に優位になり産業が発展しやすく、特に工業加工品がより安く作れてしまうため南に対して優位に立ちやすい、のでより南の地方を経済的に搾取する、という構図が生まれる、ということなのです。より南のほうが北に搾取され、というのはヨーロッパにおいても当てはまることで、例えばイタリアなどの南の地方は最初ルネサンス期には優位に立っていましたが、有効なリソースに対してだんだんと人口が増えすぎ、15世紀から16世紀にかけては食糧難に陥っています。反対により冷涼な北ヨーロッパのほうでは、ルネサンス以前の文明の発展は比較的穏やかだったものの、南でのルネサンス期からだんだんと時を経るごとに豊かになっていきます。もちろん、それは経済発展によるもので、ユダヤ人商人を始めインテリの貢献によるところが大きかったにせよ、とにかく産業的な経済発展を果たします。もちろん、人口に対して割と水資源が豊富なこともありますが、経済規模のボトルネックは南よりも大きいわけです。となると産業は当然北のほうが発展しやすく反対により温暖で肥沃な南の地方から食料品を仕入れる代わりに、工業製品を売り付ける構図が生まれますし、反対になぜイタリアなどでは食糧難に陥ったか、というと有効なリソースに対して人口が増えすぎた上、当時敵対関係にあった北アフリカなどのより南の温暖な地方から農産物を何等かの理由で仕入れられなかったため、と読み解くこともできます。交易経済的に割と対等な関係にあった北アフリカとイタリアでは経済的な理由だけで農産物などの輸入が止まったとは考えにくいですが、それでも本来豊かなはずの南の地方あるいはイタリアでもシチリアなどのより南の地方から十分な食料が供給されず、かつ経済的に行き詰ってしまったのは有効なリソースに対して人口が増えすぎてしまった、ということが根本的な要因にはあります。イタリアでは船材の森林資源が不足というか少なかった、ということが経済発展のボトルネックになった、ということは玉木俊明氏の「海洋帝国興隆史」で示唆されていることですが、とにかく有効なリソースに対して人口が増えすぎたこと、が経済成長のボトルネック、つまり食糧難などを引き起こした、ということは多いにいえることなのではないでしょうか。それとも、暗に水資源が人口に対して不足していたから、ということも言えなくもありませんね。とにかく、時代によって温暖期・小寒期の違いはあれど(一応宮崎政勝氏の「風が変えた世界史」によると十字軍遠征などの14世紀までは温暖期で、それ以降の百年戦争を挟んでいわゆる大航海時代は小氷期だった、とのこと。先のイタリアの例ではないが食糧難が起こった事情もそういう原因にあるのかもしれない。)基本的により温暖で比較的農産物の生産に優れるより「南」の地方がより冷涼で文明の発展速度に対して食料や水資源には困らないより「北」の地方に搾取される構図は、この地球上には基本的にはその元が存在する、ということは多いに言えてしまうのです。となると、先の通り南北問題は当たり前で、むしろより北の地方が金融面などで南の地方を支援して、経済と気候のバランスを取っていなかければならない、ことになるのですが政治的理由でむしろそれが出来ていない、となるとやはり国際的にそういう方向に歩調を取っていかなければならない、ということはいえるのだと思います。今、より北のヨーロッパでより南の地方の難民流入問題が起こっていますが、これらを根源的に解決するには南のほうでも安定的に農産物を生産あるいは水資源を供給、あるいは人口が許容量に対して増えすぎないようにより「北」の地方が働きかけをしていかなければならない、ということが必要になってきます。また北のほうが南の農産物などを搾取しすぎない、あるいはそれに見合うだけの工業加工製品などを供給する、ということが必要になってきます。これだけ、今ある地球上で資源とリソースのバランス(要は水と人口のバランスなど)がはっきりしているのですから、それを踏まえた、それを前提とした、全地球規模の話し合いに舵を切っていかなければならない、そう思います。余談ですが、交渉でよく話がまとまらない、難航する、といった要因はそもそもどちらかが相手の要求に全く応じていない、ということに原因があるのです。交渉のミソは要は折衝することにありますから、お互いがお互いの言い分をほぼ100%認めないと、そもそも交渉は成り立たない、ということになるのです。お互いがお互いの言い分を聞いておいて、どちらかの条件は認めない、ということはまず容認されませんから、お互いがお互いの立場に立たないと、まず交渉は成立しない、のです。条件はまず決まっているわけなのですから、まずはちゃんと肚を据えて話し合う必要が、あるのです。
posted by skywalker at 15:22| 愛知 ☁| Comment(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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